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温泉の鮮度と熟成 | |||
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過日、TVチャンピオン3連勝の温泉達人郡司勇さんにお会いしました。郡司さんも温泉ソムリエと名のられています。 郡司さんによると、温泉は鮮度がよいのが必ずしもよいわけでなく、“熟成”させた方がよいものもあるそうです。 “熟成”とは、温泉を空気に触れさせて酸化させることです。強い温泉は、この酸化(熟成)によりやわらかくなるそうです。 これを聞いて、温泉ソムリエだけにこんなことを考えました。・・・ワインと同じだ! ワインは、ボジョレ・ヌーボーはじめ軽いワイン(ライトボディ)は、あまり熟成させず早めに飲んだ方がいい場合が多いです。一方、ヴィンテージの古いワイン、特に高級な重厚なワイン(フルボディ)は、瓶内熟成後は空気に触れさせた方がおいしくなります。飲む1時間に抜栓して空気に触れさせたり、デキャンタに移して空気に触れさせるデキャンタージュをしたりします。 このようなことを「ワインを起こす」と言います。長い間瓶の中に入っていたワインを空気に触れさせることにより、味がまろやかになります。グラスにワインを注いだあと、グラスを回して飲むのも同じ意味があります。 郡司さんの言われる熟成とは、このヴィンテージワインに空気を触れさせて、まろやかな味にさせることと同じ意味のようです。 有名な草津温泉の「湯畑」は、熱い温泉を冷ますためと聞いていますが、大変濃く強い温泉のため、結果的に酸化(熟成)させることにより、まろやかしているともいえます。 つまり、巨大なデキャンタージュです。 一方、単純泉などもともとやさしい温泉は、より鮮度が高い方がいいと思います。 特に空気に触れると性質が変わりやすい二酸化炭素泉などは、湯船の下から湧き出て、そのまま空気に触れることなく浴槽に満たされるのが最高です。 赤倉温泉の源泉は、日本百名山の妙高山にありますが、源泉はかなり強いにおいがします。つまり濃い温泉です。 この温泉が、温泉街まで引湯され“旅”をすることによりうまく熟成され、誰でも気持ちよく入れる“あたりのよい”温泉になります。しかも、浴槽ではもっとも気持ちのよいといわれる42℃になります。 つまり、絶妙に計算された完璧な天然デキャンタージュなのです。 源泉の温泉を熟成させたほうがいい温泉もあります!
温泉には酸素に触れると劣化したり成分が失われるものがあります。 その代表的なものが、「二酸化炭素泉」「炭酸水素塩泉」「放射能泉」です。 こんな温泉は、源泉が浴槽の下にあり、空気に触れることなく浴槽に注がれるのが理想です。 また、加熱により成分が失われることもあるので、ぬるい湯であれば、温泉をぬるいまま提供し、「長湯」を推奨しているものが理想です。 一方、「酸性泉」「硫黄泉」などは刺激が強いので、上記のように「熟成」させたり加水した方がいい場合もあります。
今では、露天風呂と野天風呂の定義はあいまいとなり、露天風呂が総称のようになっています。 一方こんな面白い説もあります。 露天風呂は源泉が浴槽の下にあり、下から温泉が注がれるものです。河原にある温泉がこの露天風呂のイメージに当てはまります。 一方、野天風呂は浴槽の上から源泉のお湯を注いだものと考えればいいでしょう。 ●温泉の鮮度が高いのが露天風呂。 ●温泉を熟成させやすいのが野天風呂。また、注がれる温泉の落差があると、マイナスイオン効果でリラックスしやすくなります。 |