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温泉分析書の読み方 | |
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温泉の場合、脱衣場などに「温泉分析書(温泉成分分析書)」を掲げることが義務づけられています。 この温泉分析書は“温泉のプロフィール”のようなものなので、大変役立ちます。 しかし、一見するとわかりづらいので、読むポイントを単純化して覚える必要があります。 ●まずは、ココを読もう! 「泉質別適応症」「泉質名」「pH値」「源泉温度」「浸透圧」 ●泉質別適応症 一般的に温泉の「効能」と言われるものは、「適応症」と表現しなければなりません。 温泉分析書には、「一般適応症」と「泉質別適応症」が掲げられていますが、そのうち「泉質別適応症」に注目するのがポイントです。 「一般適応症」とは、泉質名のつく温泉(療養泉)すべてに共通する“効能”で、主に温熱効果によるものですから、極端に言えば自宅のお風呂でも効果があるといってもよいのです。 その点、その温泉独特の“効能”が「泉質別適応症」なので、温泉としての薬理効果が高いものだと言えます。 なお、「単純温泉」の“効能”は「一般適応症」のみです。 ●泉質名 適応症の欄に書かれていないのが、「美肌効果」です。 「美肌効果」は療養ではないので適応症と認められておらず、温泉地の“自称”と言えます。 しかし、科学的には不要な角質をとり“ツルツル肌”をつくる効果や毛穴の汚れをとったりメラニンを分解したりすることによる“美肌効果”が認められています。 「三大美人泉質」は下記の通りです。 「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「硫黄泉」 ●pH値 上記三大美人泉質の他に美肌効果があるものに「アルカリ性」の温泉があります。 「pH値7.5以上」の温泉がそれにあたります。 一方、酸性の温泉は殺菌効果により皮膚病に効きますが、酸性の場合は泉質名に「酸性泉」とつきますので、「pH値7.5以上には美肌効果あり」と覚えれば簡単です。 そこで、下記を4大美人泉質と呼ぶこともできます。 「アルカリ性単純温泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「硫黄泉」 ●源泉温度 温泉分析書には「泉温」と書かれている場合もあります。 より熱いお湯でお茶を入れるほどお茶が濃くなると同じ原理で、源泉温度が熱いほど濃い温泉である可能性が高いです。 逆に源泉温度が低いと肌に優しい温泉である場合が多いです。 源泉温度が低いと加温しないといけない場合が多いですが、源泉温度が高いより低いほうが適温に調整しやすいというメリットもあります。 ●浸透圧 温泉分析書には「浸透圧」という欄がない場合もありますが、「低張泉」「等張泉」「高張泉」と書かれていれば、それが浸透圧です。 単純に考えると、高張泉の方が濃い温泉で、低張泉ほど薄いと言ってもよいでしょう。 しかし、これは体の細胞液の濃度を基準にした分類なので、そこまでの濃度がない温泉が多く、低張泉がほとんどですから、低張泉が薄いのは、体の細胞液濃度と比較してのことだと思ってください。 浸透圧の意味としては、高張泉は温泉の成分が体に浸透しやすく、低張泉は水分が体に浸透しやすいと考えればいいです。 このことから、高張泉の方が湯あたりしやすいとも言えます。 ●泉質の順番に注目 より前に書いてあるものほど濃い、またはその温泉のオリジナリティが高いと考えてください。 【例1】カルシウム・ナトリウム・マグネシウム−硫酸塩・炭酸水素塩泉(赤倉温泉) 陽イオンでは、ルシウム・ナトリウム・マグネシウムの順で濃いということです。 陰イオンは泉質名そのもので、「硫酸塩泉」「炭酸水素塩泉」としての効能があり、そのうち「硫酸塩泉」としての効能がより高いと考えればよいでしょう。 【例2】 ナトリウム―塩化物泉(海沿いの温泉地に見られがちな泉質) 「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」といった塩類泉の泉質名がつく場合は、「ミリバル」という単位で20%以上含まれる成分が濃い順で書かれるので、上記のような泉質名だと、食塩成分に特化した泉質と考えてよいです。 【例3】酸性・含硫黄−アルミニウム−硫酸塩・塩化物温泉(草津温泉) 「二酸化炭素泉」「含鉄泉」「硫黄泉」「酸性泉」「放射能泉」といった「特殊成分」が含まれる場合は、塩類系の泉質名の前に書かれています。 つまり、前に書いてある泉質名はオリジナリティが高いと考えてもよいです。 塩類泉の泉質としては「硫酸塩泉」「塩化物泉」の順で効能が高いと考えればいいです。 それに加え、「酸性泉」「硫黄泉」としての特殊成分の泉質の効能があると考えてください。 →草津温泉の温泉分析書 |
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