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かけ流し温泉・循環温泉考察

 温泉偽装問題に思う

2004年夏より「温泉偽装問題」の話題が世間を賑せていますので、この項「偽温泉考察」を追加しました。

下記の「循環温泉とかけ流し温泉考察」は、「ネジオネラ菌」問題の際に執筆したものですが、偽物温泉と本物温泉を見分けるヒントになります。

温泉の定義(条件)の一つとして、「源泉温度が25℃以上」あれば「温泉」と名のれるため、24℃の地下水と効能成分がほとんどない25℃の温泉の違いは何だろうという疑問もわきます。

そこで、偽温泉の見分け方とまで言わなくとも、「効能成分が多い温泉」「かけ流し温泉」にこだわる方のためには、このページの「かけ流し温泉」の見分け方が参考になると思います。

循環温泉には循環にするだけに意義がありますので、下記の通り「かけ流し温泉」の方が必ずしも優れているとは言い切れません。
大きな露天風呂、貸切風呂などお客様のニーズにお応えした結果が、循環風呂ということもできます。

多くのマスコミ関係の方から偽温泉問題について、「温泉ソムリエ」としての意見が求められます。
私の意見の根底は下記の通りです。

●以前は、「温泉」は遊びに行く大義名分だったが、「温泉地に温泉がもとめられる」という当り前の現象が起きている。

●偽温泉問題が、循環・加水・加温の温泉と源泉かけ流しを区別する動きに移行しそうだが、良い温泉、悪い温泉と分けるのでなく、温泉プロフィールや温泉の提供の仕方を明示し、お客様に選んでいただくべき。

温泉は皆様の好みでお選びくださいませ。

※これは、赤倉温泉の温泉ソムリエ遠間和広の個人的な意見です。

 温泉は好みで選ぼう!

最近、一般の温泉客も「かけ流し」「レジオネラ菌」という言葉をお遣いになるようになりました。

循環していない源泉そのままの温泉を浴槽に流し、あふれた温泉を再利用しないのが「かけ流し」(掛け流し温泉)です。

「レジオネラ菌」は、主に温泉の中で増殖する菌と言われていますが、無洗浄、無殺菌の循環温泉で死亡事故が起きたことから広く知られるようになりました。

「レジオネラ菌」を増殖させない、または、発生させない方法としては、かけ流し温泉で毎日お湯を交換して清掃するという方法と「塩素」などで殺菌する方法などがあります。
さらには、塩素消毒した後、塩素臭をなくすために更に別の薬品を投入する場合もあります。

世間の風評では、「循環風呂」はレジオネラ菌の危険性があったり、温泉成分が極端に失われというイメージを持たれたりしています。
また、循環温泉は塩素殺菌しているため、温泉の良さが失われ、塩素臭く、「温泉ではない」との風評もあります。

私個人的には、「かけ流し」の温泉が大好きですが、かけ流しと循環は、好みで選べばよいというのが私の意見です。

かけ流しは、確かに「本物温泉」ですが、お湯の量に限りがあるため、お風呂を大きくすることができなかったり、露天風呂、貸切風呂、貸切露天風呂、温泉付客室、露天風呂付客室などわがままとさえ言える次々に出てくるお客様のニーズには対応できません。
「かけ流し」の温泉は、「本物温泉」だけに、温泉成分が浴槽などに付着して石化したり、湯花が多かったりし、写真では見栄えがしません。
そのため、旅行雑誌、温泉雑誌で実際にお客様が選ばれるのは、温泉の質でなく、循環していても設備のよい温泉という場合が圧倒的に多いのです。

これは、無農薬野菜・有機野菜がいいことはわかっていても、農薬を禁止すれば、野菜の供給量が大幅に減少し、国民が野菜不足(栄養不足)になることと似ています。

そこで、かけ流しと循環の特徴をまとめておきました。
かけ流しと循環は好みでお選びください。

 循環・加温・加水はいけないのか?

私自身は、「源泉かけ流し温泉」が好きで、私が営む旅館は、循環・加温・加水・塩素消毒等を一切せず、湯量だけで温度調節をしている“完全源泉100%かけ流し温泉”です。

しかし、必ずしも循環、加温・加水がいけないとは言えません。

偽温泉というのは、まったく温泉が入っていない水道水や井戸水・清水(山水)を加温循環しているものを温泉と偽っているものです。
また、このようなものに温泉が少しだけ混ざっているため、「温泉法」では温泉と認められるのをいいことに、源泉の泉質とはまったく違うお湯を堂々と温泉と言っている場合です。(でも、厳密には、と言うか法的には「温泉」です)

循環・加温・加水は、下記のような配慮なら問題ないのでしょうか。

●広い露天風呂等お客様のご要望に応じて施設を充実させるために、十分な源泉のお湯が加えられながら循環している温泉。
●もっとも気持ちの良い温度にするために加温している温泉。
●源泉温度が高いために温度調整として加水している温泉。

 かけ流し温泉と循環温泉の特徴

「かけ流し」と「循環」は好みで選ぼう!
かけ流し温泉 循環温泉

☆これぞ本物温泉!温泉の成分が濃い!

☆温泉の効能が高い!

☆毎日温泉を交換して清掃すれば、必ずしも塩素消毒をする必要がなく、レジオネラ菌の心配も少ない。

★温度調整が難しく、日によって風呂の温度が異なることもある。

★毎日温泉を交換して清掃しなければならないので、24時間入浴ができない。

★貸切露天風呂、露天風呂付客室など次々に施設を充実させるのは困難。

★「本物温泉の証」である湯花がお湯に混じっていたり、温泉成分が浴槽などに付着し石化するため、不潔なイメージを持たれることもある。
(実際には不潔なものではなく、本物温泉の証なのですが)


☆施設を充実させることができる。

☆温泉を適温に設定できる。
(41.5℃に設定されていることが多く適温です)

☆24時間入浴も可能。

★温泉の効能が失われる。

★塩素消毒などにより「塩素臭い温泉」になってしまうこともある。


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 かけ流し温泉と循環温泉の見分け方

下記が当てはまっていると「かけ流し」の可能性が高いですが、絶対とはいえませんので、“なるほど話”程度に読んでください。

【1】湯口のお湯が熱いか?(浴槽との温度差が大きいか?)

循環したお湯が湯口から出ていると42度程度の適温です。
かけ流しの場合、湯口のお湯は、浴槽にたまると必ず冷えるので、少なくとも45℃以上の触っただけで「あちちっ!」とならないといけません。
つまり、浴槽の湯温と湯口の湯温の差が大きいのが「かけ流し」の証です。

→しかし!湯口から源泉の温度が加えられている「かけ流し循環」の場合はこれにあてはまりません。


【2】浴槽内にお湯が噴き出したり、吸っている場所があれば循環


これが循環器のシステム。

→しかし!お湯が上から流れているのではなく、下から湧いているのもあります。これは、空気に触れないで温泉が浴槽にたまるので、温泉成分が失われにくい素晴らしい温泉です。
また、冷たくなりがちな浴槽の下から排湯する仕組みの場合は、かけ流しでも吸い口があります。


【3】塩素くさい

循環式温泉はレジオネラ菌の温床になりやすいので、塩素等で消毒していることが多い。

→しかし!かけ流しだから塩素消毒しないとは言い切れません。


【4】温泉分析書と温泉の状態の差を見る


●温泉の湧出量が少ないと循環しないといけない。【7】参照。
●泉質が強い(濃い)泉質のはずなのに浴槽の温泉のサラサラ感が強かったり、においがないなら循環で成分が失われている。
●源泉温度が低い(42℃未満)なら加熱が必要で、循環せざるをえない。

→しかし!ちょっとあいまいでわかりにくいですよね。


【5】宿の人に「かけ流しですか?」と聞く

「かけ流し」という言葉を知っているとごまかされない。

→しかし!嘘をつかれたり、意外にも知識のない従業員もいます。


【6】湯口に温泉成分が付着し、石化している

湯口から出ている温泉が源泉そのままなら、温泉成分の濃さに応じ、付着した温泉成分が石化している。

→しかし!循環だから成分が付着しないとは限りません。また、循環かけ流しという場合もあります。


【7】かけ流しにできる湯量があるか?

チェックアウトからチェックインまでの間に、風呂を掃除し、お湯をためるだけの湯量があるかどうかということです。
つまり、少なくとも5時間以内で浴槽がいっぱいになるという湯量があるかということです。

そこで、「かけ流し方程式」を披露します。

大浴場にある一般的な桶は、3リットル弱です。(ここでは、2.8リットルとしておきましょう)
浴槽1帖あたりの湯量は風呂の深さにもよりますが、1立方メートルです。
これを前提にこんなことをします。

●浴槽の大きさが畳何帖分あるか?
●湯口から桶に温泉を入れ、満水になるまでの秒数を計る。

そして・・・「50秒÷帖数」で算出される秒数以内で、桶が満水になれば湯量は合格です。
※つまり、畳1帖分の浴槽が5時間で満水になるには、桶が満水になるのに50秒かかる湯量が必要ということです。

→しかし!湯口のお湯が循環ならまったくあてはまりません。むしろ、お湯の量が多すぎるのはあやしいです。
また、源泉温度が非常に高く、最初にお湯をためるときだけ加水し、その後ごくわずかの高温温泉を加える方式の場合は当てはまりません。


【8】浴槽からお湯があふれているか?

浴槽内に給水口、排水口がなければ、かけ流しなら浴槽からお湯があふれざるを得ません。

→しかし!これが一番要注意な見分け方です。
まったくお湯を足さずに循環しているほどの温泉は少ないので、循環しても加えた温泉分だけお湯はあふれます。
また、かけ流しでも、浴槽の下から排湯するしくみの場合は、かけ流しでもお湯は浴槽からあふれません。

 「本物温泉の見分け方」
 「偽物温泉の見破り方」のウソ

偽温泉問題で、テレビ・雑誌などのメディアやホームページなどでは「本物温泉の見分け方」を紹介しています。
しかし、下記のような(温泉ソムリエからすると)笑えるものもあります。
私が営む旅館は、循環、加水、加熱等していない本物の中の本物温泉です。
その当館が当てはまるものに★をつけてみます。

★無色だからニセモノ温泉の可能性が高い。

→ほとんどの温泉は無色です。
 硫黄泉は白、含鉄泉は茶褐色など、泉質によって色は決まるのです。

☆塩素臭がする施設は100%水道水だ。

→今は、レジオネラ菌対策として、かけ流し温泉ですら 塩素投入を義務付けている県すらあるのです。

★「ボイラー室」がある施設は温泉ではないと思って間違いない。

→シャワーが熱くなるには何が必要でしょうか?
 「ボイラー室」がない宿はほとんどありません。

☆モーター(ポンプ)の音がするところは温泉ではないから要注意。

→上層階にお湯や水をポンプアップするにはモーターが必要です。

★チェックインしたらまず貯湯タンクを探せ。あればニセモノ温泉。

→貯水タンクがない宿は、どのようにして水を提供するのでしょうか?

☆浴場が一階でなく階上にあるところは温泉ではない。

→温泉をポンプアップすると偽物温泉になるのでしょか?

☆「タオルを浴槽につけないでください」と表示しているのはかけ流しではない。

→これは、公衆浴場に共通するマナーですよね。

★「飲用不可」と表示してあるのは100%循環。

→飲泉は、温泉の効能成分として認められていながら、保健所が飲用を 許可していない場合がほとんどです。

★入湯料が150円の施設は全て経営上苦しいだろうから循環の筈。

→意味不明!むしろ入湯税をとっていなければ温泉ではないはず。

 インターネットで
「源泉かけ流し温泉」をさがす方法

偽温泉問題により、表示の規制が強まり、インターネットでも不当な表示がしにくくなりました。
これにより、源泉の成分に近い温泉を提供している宿をさがすには、「源泉100%掛け流しの温泉」といったような内容を表示しているホームページをさがせばよいことになります。

しかし、各宿により、「掛け流し」「かけ流し」「源泉かけ流し」「掛け流し温泉」「源泉100%掛け流し」「100%かけ流し温泉」など、表現は様々です。

そこで、見落としのないように「源泉掛け流し温泉」をさがすには、「条件検索」で
共通する表現「掛け流し」または「かけ流し」と表示しているホームページを検索するようにすればよいのです。

これを行ってみたい温泉地名や「貸切露天風呂」がある旅館といった条件を加えて検索すればよいのです。

検索サイト「Yahoo!JAPAN」を例にとって説明しましょう。
http://www.yahoo.co.jp/

キーワード検索欄の下が入口の「検索オプション」を利用しましょう。
http://search.yahoo.co.jp/option/

新潟県の「赤倉温泉」を例にとり説明します。

【1】「キーワードをすべて含む」に「赤倉温泉」を入力します。
(温泉地名以外の地域名で検索する場合は、スペース入力後、「温泉」を入力します。例:「妙高高原 温泉」)

【2】「キーワードのうち少なくとも一つを含む」に「かけ流し 掛け流し」を入力します。
(「かけ流し」と「掛け流し」はスペースで区切ります)

【3】他県に同じ名前の温泉地がある場合などは下記の作業をおこないます。
「キーワードを含めない」に「山形県」を入力します。
(山形県にも赤倉温泉があります)
ただし、ここで、「偽温泉」「循環」などのキーワードは入力しないことです。
「偽温泉が問題になる中、当館は源泉掛け流し温泉を提供しております。」や「当館は循環等一切していない源泉かけ流し温泉です。」などのホームページが除外されてしまうからです。

以上で、新潟県の赤倉温泉にある「源泉掛け流し温泉」の宿が見つかります。

ただし、全国には、ホームページの表示変更をしていない宿がないとは言いきれませんので、予約の際に、
「循環をしていない“掛け流し温泉”ですか?」と聞いてみてください。

ここでご注意いただきたいのは、「循環温泉=偽温泉」ではないということです。
水道水や井戸水を循環させ、「温泉」と表示してあるのが「偽温泉」です。
ここで紹介した方法は、源泉の成分により近い(温泉成分分析書の内容に近い)掛け流し温泉をさがすのに適した方法です。





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